吉田あけみ氏 『gender equality』
『gender equality』
地域社会においても、例えばおかみさんたちが、従来のおかみさん役割に縛られることなく、元気に地域社会の活性化に寄与している。
男女共同参画社会基本法には、両性のあらゆる領域への共同参画が謳われており、今後ますます、おかみさんたちのパワーが地域社会で活かされる必要があると思われる。
今まではともすると、おかみさんたちは、縁の下の力持ちのような役回りで地域に貢献してきたと思われる。また、その際には責任を担うことを免除されてきたこともあるだろう。しかし、これからは男女共同参画社会基本法にもあるように、責任もまたともに担うことが期待されている。
これからの社会においては、おかみさんたちもその持てる力をフルに発揮して、責任も取りつつ地域社会をリードしていっていただきたい。男女共同参画社会基本法の10条においては、これらの社会を形成していく責務が国民にもあることを明記している。おかみさんたちがこの10条にのっとって、その責務を遂行することによって、地域もまた活性化されるであろう。
豊田のおかみさんたちの今後の働きに注目していきたい。
【PROFILE】
上智大学大学院 文学研究科社会学専攻博士後期課程 単位取得満期退学
【現在】
広島文教女子大学人間科学部人間福祉学科助教授
南山大学非常勤講師
岡崎市男女共同参画審議会副会長
【最近の著書のご紹介】
ネットワークとしての家族
(吉田あけみ・山根真理・杉井潤子 編著 )ミネルヴァ書房
日常的に用いられる「家族」という言葉。
多様性と複雑さが増大する現代社会において「家族」をどうとらえればよいのだろうか。
吉田氏は、この中で『ジェンダー・セクシュアリティで読み解く家族』として、
家族領域におけるジャンダ-問題を中心に、その形成過程、今後のゆくえなどについて書かれています。
※ジャンダーとは
フランス語では、ジャンル(genre)。もともとは、女性名詞、男性名詞といった
文法上の性別をあらわす言葉。 区分をあらわす言葉。
日常生活においては、「女らしさ」「男らしさ」というもの。
生物学的な性と区別するために、生物学的な性ではなく、社会・文化的な性を
意味するものとして、第2波フェミニズムの中で発見された概念である。
—————————以下 資料として—————————
男女共同参画社会基本法 【前文】
我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、男女平等の実現に向けた様々な取組が、国際社会における取組とも連動しつつ、着実に進められてきたが、なお一層の努力が必要とされている。
一方、少子高齢化の進展、国内経済活動の成熟化等我が国の社会経済情勢の急速な変化に対応していく上で、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、緊要な課題となっている。
このような状況にかんがみ、男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくことが重要である。
ここに、男女共同参画社会の形成についての基本理念を明らかにしてその方向を示し、将来に向かって国、地方公共団体及び国民の男女共同参画社会の形成に関する取組を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。
(目的)
第一条
この法律は、男女の人権が尊重され、かつ、社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することの緊要性にかんがみ、男女共同参画社会の形成に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(定義)
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一.男女共同参画社会の形成 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成することをいう。
二.積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(男女の人権の尊重)
第三条
男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。
(社会における制度又は慣行についての配慮)
第四条
男女共同参画社会の形成に当たっては、社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがあることにかんがみ、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならない。
(政策等の立案及び決定への共同参画)
第五条
男女共同参画社会の形成は、男女が、社会の対等な構成員として、国若しくは地方公共団体における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
(家庭生活における活動と他の活動の両立)
第六条
男女共同参画社会の形成は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない。
(国際的協調)
第七条
男女共同参画社会の形成の促進が国際社会における取組と密接な関係を有していることにかんがみ、男女共同参画社会の形成は、国際的協調の下に行われなければならない。
(国の責務)
第八条
国は、第三条から前条までに定める男女共同参画社会の形成についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第九条
地方公共団体は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(国民の責務)
第十条
国民は、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に寄与するように努めなければならない。
(法制上の措置等)
第十一条 政府は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
(年次報告等)
第十二条 政府は、毎年、国会に、男女共同参画社会の形成の状況及び政府が講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての報告を提出しなければならない。
2、府は、毎年、前項の報告に係る男女共同参画社会の形成の状況を考慮して講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。