浦野純子氏 「酒は、その土地の文化そのものです…。」
ゆっくり、ゆったり・・・日本酒が楽しめる時間。
より多くの方がもてますように・・・。
今春は、地元 豊田の地酒とともに、
お花見を楽しみませんか。
●毎年4月には
清酒『菊石』醸造元の浦野酒造さんの酒蔵が開放されます。
酒蔵の見学、新酒の試飲、きき酒など、
樹齢推定100年の桜を見ながら楽しめます。
(私ごとですが、例年、あとから新聞で知って
残念がっておりましたが、今年は地元の酒蔵に
おじゃまできると今から楽しみにしています。)
詳細は→ http://www.kikuishi.com/
1864年創業の老舗 浦野酒造 の浦野純子氏は
日本酒文化の魅力開発に、積極的に取り組んでいらっしゃいます。
そんな浦野氏より、メッセージを頂戴しました。
日本酒をアピールすること
日本酒をアピールすること
私が酒の世界に入ったころは、まさに日本酒の低迷期、
日本酒離れの時期に突入していました。
そんな時期に家業に入った私が、
最初にした自分への意識改革は
「 酒を売る」ことから「酒を知ってもらう」
ということでした。
商売の素人である私が自社の酒をアピールするには通り一辺倒の
ことでは到底今まで商売に従事されてきた方にはかないません。
しかも女性であるということは男性中心の酒社会では、
アピールするにも説得力に欠けるのは目に見えていました。
そこで私は「酒を売る」ことを前面に出すのではなく、私が生まれ育ってきた蔵と
日本酒という文化そのものを世の中の方に知ってもらい、日本酒を身近に感じて
いただくことが私の、そしてうちのような小さな蔵のアピール方法だと思いました。
菊石春の酒蔵開放はその最初の取り組みでした。
蔵に人を招きいれ、蔵を見ていただくことで、酒そのものの味だけでなく
酒が造られる背景、歴史、造り手のこだわりを肌で感じていただき、
造り手も御客様も日本酒を通じて交流する場にしたいとこれまで続けて
きました。
7年目を向かえ、その思いが少しずつ御客様に通じてきたのか
予想以上の御客様にご来場いただける会になってきました。
私は文化としての日本酒を、お酒を飲む人だけでなく、飲めない方、
子供たちにこそ、知っていただきたいと思っています。
そのような方が酒蔵に入り、蔵の大きさ、古さ、酒の神秘を
感じていただくこと、また、酒粕料理をはじめ、酒に関わる味、
繊細な旨味を楽しむ、そんなことの積み重ねが
日本酒を身近に感じることにつながるのではないかと思います。
「子供がまた蔵に行きたいというから来ました。」
こんな声も聞かせていただけるようになったことは嬉しい限りです。
今、私も子供たちも近代的なもの、機械的なもの、洋風なものなど
新しさやスピードのあるものに囲まれた社会にいます。
それとともに日本酒は文化としてでなく他のアルコール飲料と同じようにとらえられ、
祭りをはじめ、人々の生活から敬遠されつつあります。
でも、私はそんな時代だからこそ、日本酒の深くゆったりとした文化と味を知って
いただき、落ち着いた日本の文化を多くの方が実感できるようになれば
どんなに素敵なことだろうと思います。
これから日本酒を通じてどんな文化のアピールができるか、課題は
多いですが、御客様との関わりは楽しみでもあります。
ゆっくり、ゆったり・・・日本酒が楽しめる時間。
より多くの方がもてますように・・・。
【PROFILE】
・1968年2月14日 豊田にて浦野家の三女として生まれる
・大学卒業後、専門学校を経て
日本語教師として10年間、専門学校、大学にて
外国人に日本語を教える。
・講師の傍ら、家業の浦野酒造(浦野合資会社)
の社員として商品企画、広報を中心に業務に
携わり、現在に至る。(現在講師はしていません。)